社内格付の作り方

取引先の評価を会社全体で運用するのは難しい業務ですが、社内格付を作成することで判断をしやすくすることができます。

目次

  1. 1.社内格付制度について
  2. 2.定量評価を用いた社内格付
  3. 3.定性評価を用いた社内格付
  4. 4.信用調査会社やアラームボックスを用いた社内格付
  5. 5.取引シェアが大きい時の格付
  6. 6.支払遅延が起きている会社の社内格付
  7. 7.格付で減点する情報

社内格付制度について

「社内格付」は取引先の信用力を明確にし、比較できるようにするために使われる指標です。 自社の取引状況に合わせて作成しましょう。

社内格付の作例
格付 リスク程度 格付の定義
A 万全 支払能力が非常に高く、取引に支障が無い状態
B 安全 支払能力が高く、通常取引に支障が無い状態
C 通常 現状、支払能力には問題無いが、継続モニタリングが必要な状態
D 不安 支払能力に不安が有り、将来、未回収が発生する恐れが有る状態
E 危険 支払能力に懸念が有り、未回収が発生する可能性が高い状態
Z 遅延 支払遅延などの事故が発生している状態

企業調査をする上では、取引先が「利益を上げているか」よりも「倒産の可能性」や「支払能力があるかどうか」が重要です。 「不安要素はないか」「支払いできなくなるような可能性はないか」といった「減点方式」で格付を行いましょう。

定量評価を用いた社内格付

定量情報を社内格付に用いる場合は、財務諸表を点数化するのが一般的です。

規模分析
売上高
自己資本額(純資産額)
安全性分析
自己資本比率
借入月商比
流動比率
借入依存度
収益性分析
総資本経常利益率
売上高経常利益率
増収率
計上収支率
回転率分析
総資本回転数
売掛債権回転期間
棚卸資産回転期間

定量評価に使われる指標

取引先から決算書を入手できない場合は、下記のような情報を用います。

規模分析
売上高
純利益額
従業員数
安全性分析
資本金
収益性分析
売上高純利益率
増収率
従業員数

決算書が入手できない場合の定量評価に使われる指標

定性評価を用いた社内格付

定量評価だけでは社内格付を行うことはできません。定性評価によって調整を行いましょう。

評判
経営者の能力
資産背景
親会社の支援動向
業況
業界順位
業界特性
資本
取引金融機関
風評
信用不安情報の有無

定性評価に使われる指標

取引先との親しさや前評判、利益率などに左右されないよう注意します。定性評価の公平性を保つために、客観的事実を文章で残しておくようにしましょう。

信用調査会社やアラームボックスを用いた社内格付

自社で作成した格付にプラスして、調査会社やアラームボックスなどの情報を使うことで、与信管理の精度を高めることができます。 取引先から財務諸表などを入手できない場合、調査会社や与信管理サービスを用いることはより重要です。 また、自社で行う格付と比較することで与信管理をより確実なものにできるでしょう。

取引シェアが大きい時の格付

シェアの大きい取引先は、特別な管理が必要です。 もし不安情報を入手したとしても、自社が撤退したことで取引先が倒産してしまっては、自社の債権も貸し倒れてしまいます。 シェアの大きい取引先は継続的にモニタリングをするようにし、もし信用力が低下した際は売掛金に保証をかけるなど先手を打って対処ができるようにします。

支払遅延が起きている会社の社内格付

既に支払遅延などの事故が起きている取引先は特別に対処する必要があります。 継続的にモニタリングをし、撤退や担保の設定などを候補に入れながら、慎重かつ迅速に交渉を進めましょう。 また、支払遅延が起きた先が一目でわかるよう格付項目を別に設けるようにしましょう。

格付で減点する情報

格付を最低ランクにしたほうがよい情報

このような情報が出た場合、状況にもよりますが、社内格付において最低ランクにしたほうがよいでしょう。
情報
定量情報 債務超過
定性情報 手形不渡りに関する信用不安情報が出ている。
粉飾決算に関する信用不安情報が出ている。
代表者・役員の中に倒産歴のある人物がいる。
夜逃げ、任意整理などで事実上の休眠状態にある。

格付を下位ランクにしたほうがよい情報

このような情報が出た場合、状況にもよりますが、社内格付において下位ランクにしたほうがよいでしょう。
情報
定量情報 借入依存度が60%以上
借入返済年数が30年以上か、または当期利益が赤字
流動比率が100%未満
定性情報 メガバンク、地銀などの銀行以外の金融業者からの担保設定がある。
支払遅延など支払に関する情報が出ている。

格付を1~2ランクダウンしたほうがよい情報

このような情報が出た場合、即座に倒産するわけではありませんが、経営状況や財務状態が悪化する可能性があるため、1~2ランクダウン程度の格付が推奨されます。
情報
定量情報 資本金が300万円未満
自己資本比率が7%未満
定性情報 商号変更が繰り返されている
本店所在地の変更が繰り返されている
代表番号がの変更が繰り返されている
設立後、5年以内の会社
代表者および役員の交代を繰り返している
談合事件等により指名停止処分を受けた
脱税、詐欺等の法令違反によって逮捕者が出ている
主力販売先が変更になっている

格付を1ランクダウンしたほうがよい情報

このような情報が出た場合、経営状況や財務状態がやや悪化する可能性があるため、1ランクダウン程度の格付が推奨されます。
情報
定量情報 自己資本総額が3,000万円未満
借入依存度が40%以上60%未満
自己資本比率が7%以上15%未満
経常利益が赤字
支払利息が営業利益を上回っている
定性情報 社有地および代表者私有地に時価総額を上回る担保設定がある
借入過大や財政状態に関する不安情報が出ている
主要販売先で最近倒産した会社がある
主要仕入先が取引量を減らして取引から後退している
役員間または労使間で社内に重大な紛争が出ている
官報等で決算公告を行っていない

複数該当した場合、格付を1ランクダウンしたほうがよい情報

このような情報が出た場合、信用状況が悪化するとはいいきれませんが、複数該当する場合は1ランクダウンを検討したほうがよいでしょう。
情報
定量情報 自己資本総額が3,000万円超5,000万円未満
当期利益が不明または200万円未満
当期利益が黒字で売上高利益率が1%未満
売上高が20%以上減少している
総資産が20%以上減少している
定性情報 取引先の代表番号にかけても担当者につながらない
従業員数が事業内容と比べて極端に少ない
従業員数が極端に減少している
事業内容や目的の変更を繰り返している
主力仕入先が変更されてる
取引先の貸倒れに関する不安情報が出ている
廃棄物処理などにより周辺環境に環境汚染事件が発生している
業界が全体的に縮小傾向にある
業界が市況悪化などの景気変動の影響を受けやすい
業界が新規参入や新商品・サービスなどの出現によって競争が激化する可能性がある