与信限度額の付け方

売掛金の発生する企業間取引において、貸倒れリスクを抑えるために、企業ごとに与信取引の上限金額を設けます。これを、与信限度額(与信枠)といいます。与信限度額の設定の基本的な考え方を解説します。

目次

  1. 1.与信限度額とは? 与信限度額の意味と使い道
  2. 2.与信限度額の重要性と活用事例
  3. 3.与信限度額のアプローチの仕方
  4. 4.新規取引先に与信限度額を設定するには
    1. 1.新しい取引が決まったら
    2. 2.取引先の与信調査を行う
    3. 3.与信限度額を決定するための打ち合わせを行う
  5. 5.下請先に与信限度額は必要?
  6. 6.仕入先に与信限度額は必要?
  7. 7.与信限度額の計算方法
  8. 8.格付による与信限度額の設定

与信限度額とは? 与信限度額の意味と使い道

売掛金の発生する取引(与信取引)では、貸倒れが発生するリスクがあります。また、仮に貸倒れが発生した場合、企業に対する影響は債権残高によって変わります。
「与信限度額」は貸倒れリスクを最小化するためのシステムです。取引先ごとに債権残高の最高額を取引開始時に決めておき、常にこれを超えないように管理します。
与信限度額には貸倒れリスクを最小化する役割もありますが、信用度が低い新規取引先と取引をする場合や、取引不可に値する新規取引先とどうしても取引をしなければならない時などに調整弁として活用することができます。
与信限度額は各社が独自に定めるもので決まった指標はありません。新しく与信限度額の運用を始める際は、過去の取引履歴をもとに自社にノウハウを貯めていくようにします。

与信限度額の重要性と活用事例

与信取引を行った際の貸倒れのリスクは、与信管理を行うことである程度回避することができます。しかし、完全に未来を予測して100%貸倒れを防ぐことは不可能に近いでしょう。
「貸倒れリスクを避ける」のではなく「貸倒れリスクの許容範囲」を決めるのが与信限度額です。
信用が高い取引先には限度額を高く設定し、信用が低い取引先は限度額を低く設定します。与信限度額を運用するにあたっては、社内ルールをあらかじめ設定しておき、新規取引先の調査内容と突き合わせて決定します。

与信限度額のアプローチの仕方

与信限度額を設定するにあたって、アプローチの仕方は2種類あります。
まず「取引に必要な金額を見積もる」ことで、これは取引内容や事業規模によるでしょう。後述しますが、月間販売額と回収期間を勘案して設定します。
そしてもう一つのアプローチは、「取引先の信用度を格付して、格付ごとに上限額をあてはめる」やり方です。自社の財務状況に応じて限度額を設定しながら、取引の販売シェアにも上限を設定しなければなりません。

新規取引先に与信限度額を設定するには

新しい取引が決まったら

新規取引がおおむね決まったら、営業担当者から与信限度額設定の申請を行います。
業務を効率に行うためにも取引金額が少額だった時は申請をしなくてもいいルールを設けてもいいでしょう。

取引先の与信調査を行う

与信管理の一環として企業調査を行います。予め決めておいた書式に則って項目を埋めていきます。
営業担当者は取引の経緯や取引内容を報告するとともに、自分で見たり同業者から聞いた取引先の定性的な情報(風評)を記入し、決算書など必要な情報を取引先から入手します。
管理部では信用状況を見定めるために決算書をチェックしたり、商号登記簿や不動産登記簿を取り寄せたり調査会社から情報を仕入れます。

与信限度額を決定するための打ち合わせを行う

取引額が大きい時や取引先に懸念事項がある時は営業部と管理部で話し合いの場を設けます。新規取引先をどこまで信用するかは難しい問題です。 初回は与信限度額を低めに設定し、取引を続けていくうえで限度額を増やしていってもいいでしょう。

下請先に与信限度額は必要?

下請先には売掛債権は発生しませんが、下請け代金を前渡金として支払っている場合、下請先に材料を預ける場合、材料を自社が販売している場合などは事故が起こる可能性があります。与信限度額のようにルールを設定してもいいでしょう。

仕入先に与信限度額は必要?

仕入先には売掛債権は発生しませんが、仕入先に前渡金を支払っている場合や仕入先の信用度が低い場合は与信管理や与信限度額を設定するように仕入先管理を行います。仕入れが滞れば自社に対する被害があり、それは与信取引と変わりません。

与信限度額の計算方法

売掛金が回収できない事態に備え、与信限度額を計算します。毎月の販売数に対して売掛残高が大きくなりすぎないようにします。

平均売掛残高=(月間販売額×売掛期間月数)+(月間販売額×手形期間月数)

月間販売予想額を計算し、回収期間をかけると平均の売掛残高を出すことができます。これを基準にして与信限度額を導き出します。
季節によって商品の売れ行きは変わるのでその分を考慮して平均値より多少大きく設定します。取引開始後は実態に沿って見直すようにします。

格付による与信限度額の設定

売掛残高から与信限度額を計算するのではなく、取引先の信用度によって格付をし、与信限度額を決めるやり方があります。
格付に対する限度額は自社の財務状況をもとに決定します。また、格付が最高ランクの会社でも与信限度額を上げすぎると決裁権限が取締役クラスになってしまい、運用が困難になってしまうため、営業部門で決済できる範囲内にします。

格付ごとの与信限度額の上限(例)
格付 与信限度額
A 5億円
B 2.5億円
C 7,500万円
D 5,000万円
E 2,500万円
Z(問題先) 0