23回目の倒産情報レビューは、「FREETEL(フリーテル)」というブランド名で格安スマホ事業を運営していた「プラスワン・マーケティング株式会社」です。
目次
プラスワン・マーケティング株式会社 概要
会社名 | プラスワン・マーケティング株式会社 |
代表者 | 増田 薫 |
所在地 | 東京都港区 |
業種 | 情報通信業 > 通信業 > 移動電気通信業 > 移動電気通信業 |
資本金 | 資本金52億3226万円 |
倒産日 | 2017年12月4日 |
倒産種別 | 民事再生法適用申請 |
負債総額 | 26億円内外 |
プラスワン・マーケティング株式会社(元FREETELフリーテル運営会社)について
プラスワン・マーケティング株式会社は、FREETEL(フリーテル)ブランドで、格安スマートフォンの製造、販売をおこなう端末事業および携帯回線を借りてサービスを提供する格安SIM事業の2つの事業を運営していました。同社の端末事業は、IT企業のMAYA SYSTEM社がスポンサー候補として名前が挙がっており、格安SIM事業は倒産前にすでに楽天へ売却済みとなっています。
プラスワン・マーケティング社は2010年10月に設立され、日本製のスマホを世界に発信することを掲げ、2018年には販売台数1,000万台、2025年までに販売台数世界一を目標に事業を拡大していました。
2014年10月に「FREETEL(フリーテル)」ブランドで通信回線事業に参入し、同事業を拡大するために、2016年11月には総額42億円もの増資によって資金調達を実施しました。また、官民ファンドなどからも30 億円の資金を調達し、同社の調達額は累計で80億円近くになっていました。
プラスワン・マーケティング社では、有名タレントを起用したテレビCMなど積極的な販促策を実施し、「FREETEL(フリーテル) SIM 月 299円」など低価格のプランを特徴にして、同社の知名度は急速に拡大していきました。積極投資を続けた結果、2017年度の売上は100億円に達したものの、53億円もの巨額赤字を出し、3期連続の赤字となり採算面の改善が遅れる中で、調達した資金は急速に減少していきました。
さらに、2017年4月には消費者庁からプラスワン・マーケティング社の過大な広告表現が、優良誤認など景品表示法に違反するとして行政処分(措置命令)を受け、同社の経営状態に対する雲行きがあやしくなってきました。
それでは、倒産に至るまでにどのような情報が流れていたのかを見ていきましょう。
プラスワン・マーケティング株式会社の倒産までのアラーム情報まとめ
上記の画像を見ると、倒産の前兆として、何度かアラームが発生しています。
最初のアラームは、2016年11月のプラスワン・マーケティング社による総額42億円の第三者割当増資に関するプレスリリースで、ポジティブな内容であるため「チェック」のアラームが発生しています。その後、2017年4月には、同社の広告に関して消費者庁による景表法に基づく措置命令が出て、行政処分に関するもので業績への影響も危惧されることから、「注意」のアラームが発生しました。
2017年7月と8月には、債権譲渡登記に関する「注意」のアラームが連続して出ており、資金調達関連の影響が懸念されていました。一方、同年9月には大阪と兵庫に「FREETEL(フリーテル)ショップ」を相次いで出店するなどの情報も出ていました。
そんな中で、2017年9月のアラームで、プラスワン・マーケティング社は格安SIM事業を楽天に売却しました。さらに同年11月にかけて、当社のアラームボックスへの同社に対する信用関連の問い合わせが集中したため、アラームが再び発生しています。その後も同社の厳しい状態は続き、12月に民事再生手続開始の申立てを行いました。
プラスワン・マーケティング株式会社の倒産情報から分かること
インターネットで「プラスワン・マーケティング 倒産」や「FREETEL(フリーテル) 民事再生」で検索すると様々な情報が出てきます。
今回の倒産は事業の急拡大を狙った積極的な投資が裏目に出るかたちで、開発費用や広告宣伝費に対する売上の伸びが追いつかず、さらに行政処分等の影響も重なり、赤字額の拡大による資金の減少によって、経営が行き詰まりました。
当社では「アラームボックス」の運営を通じて、継続的に倒産の前兆となりうる情報を入手しています。アラームボックスが与信管理における経営判断の一助となれば幸いです。
最後まで、お読みいただきまして、ありがとうございました。また、次回お会いしましょう。隔週木曜日の更新予定です。