【エルエスエム】倒産情報レビュー(第25回)

画像はイメージです。実際とは異なる場合があります。

25回目の倒産情報レビューは、粉飾決算が明るみに出ており2017年10月に事業停止していた「エルエスエム株式会社」です。

エルエスエム株式会社 概要

会社名 エルエスエム株式会社
代表者 松田 充泰
所在地 大阪府大阪市(登記上:沖縄県那覇市)
法人番号 6120001072194
業種 情報通信業 > 情報サービス業 > ソフトウェア業 > 受託開発ソフトウェア業
資本金 4,000万円
倒産日 2018年2月7
倒産種別 破産手続開始
負債総額 61億円内外

エルエスエム株式会社について

エルエスエム株式会社(旧商号:ロジスティックシステムマネージメント株式会社)は1988年10月に設立。倉庫管理や貨物追跡など物流関連ソフトウェアの開発及び販売、3PLとよばれる包括的な物流業務をアパレル企業やコンビニエンスストアなどから受託していました。

2012年には関連会社のLSMインターナショナル株式会社を設立。中国の現地物流企業と連携し、日系企業の中国における販売拡大に伴い発生する物流業務を受託し業容を拡大させていました。

エルエスエム社は、積極的な事業拡大のために、複数の地方銀行に対して私募債を発行し資金調達を行っていました。近年、同社の借入金は高い水準で推移していたようで、併せて人件費高騰など販管費の増大も、次第に経営状態を圧迫するようになっていきました。

そうした中、取引先の1社から債権譲渡登記をされるなど保全強化の動きが見られ始め、同社への警戒感が高まりました。2017年9月には本店を大阪から沖縄に移転して立て直しを図ったようですが、子会社であるLSMインターナショナル社の粉飾決算の発覚後、取引先に対する支払遅延の疑いなども聞かれるようになり、信用状況は急速に悪化して行き2017年10月に事業停止に追い込まれました。

それでは、倒産(破産手続開始)に至るまで、実際にどのような情報が流れていたのかを見ていきましょう。

エルエスエム株式会社の倒産までのアラーム情報まとめ

エルエスエム倒産

オンラインデータを活用した企業調査サービス「アラームボックス」による「エルエスエム株式会社」の事後検証結果

上記の画像を見ると、倒産の前兆として、何度かアラームが発生しています。

エルエスエム社の最初のアラーム発生は、2016年10月と11月に地方銀行に対して、地域社会貢献型の私募債を発行して資金調達を実施しており、長期固定金利での調達であることから、「チェック」のアラームが発生しています。

2017年4月には当社関係企業からエルエスエム社に対する問い合わせが増加した事から「注意」のアラームが発生しています。その後、当社の独自調査の実施により、取引先である1社から債権譲渡登記が設定されている旨が判明しました。取引先企業の保全強化の可能性が高いため「注意」のアラームが発生しています。

2017年9月には提携している調査会社からの情報として「金融機関が把握している借入金明細に差異がある」との情報を入手し「要警戒」のアラームが発生しました。また、突如、エルエスエム社の本店が大阪から沖縄に移転した際に、「注意」のアラームが発生しています。

2017年9月から10月はじめ頃にかけて同社に対する信用関連の問い合わせが集中しました。同社に対する警戒感がピークに達していると判断し、再び「要警戒」のアラームが発生しています。その後、間もなく関連会社のLSMインターナショナル社も含めて事業を停止。破産申請に向けた準備が弁護士に一任されました。

その後、エルエスエム社は再び本店所在地を大阪に戻し、2018年2月に破産手続が開始されました。

エルエスエム株式会社の倒産情報から分かること

インターネットで「エルエスエム 倒産」や「LSMインターナショナル 破産」で検索すると様々な情報が出てきます。

今回の倒産は借入金に頼った事業の拡大を続ける中で、人件費等の上昇や受注の低迷により損益が悪化し、さらに粉飾決算の疑いによる信用不安によって、資金繰りが行き詰まりました。

前回の倒産情報レビューで取り上げた「はれのひ株式会社」についても、倒産後、粉飾決算(架空売上)を行っていた杜撰な経営実態が明るみになっています。

当社は「アラームボックス」の運営を通じて、継続的に倒産の前兆となりうる情報を入手しています。アラームボックスが与信管理における経営判断の一助となれば幸いです。

最後まで、お読みいただきまして、ありがとうございました。また、次回お会いしましょう。隔週木曜日の更新予定です。