26回目の倒産情報レビューは、シェアハウス「かぼちゃの馬車」のサブリース事業が破綻し、社会問題化していた「株式会社スマートデイズ」です。
株式会社スマートデイズ 概要
会社名 | 株式会社スマートデイズ |
代表者 | 赤間 健太 |
所在地 | 東京都中央区銀座 |
法人番号 | 4010001148478 |
業種 | シェアハウスの管理・運営 |
資本金 | 11億20万円 |
倒産日 | 2018年4月9日 |
倒産種別 | 民事再生法適用申請、破産へ |
負債総額 | 約60億3500万円 |
株式会社スマートデイズについて
株式会社スマートデイズ(旧商号:株式会社スマートライフ)は2012年8月に設立。個人のオーナー向けに女性専用のシェアハウス「かぼちゃの馬車」をはじめ、男性・外国人向け「ステップクラウド」、シングルマザー向けの「シングルマザーハウス」などを販売し、管理・運営を一括して行う「サブリース」方式で事業を展開していました。
サブリースを活用してシェアハウスを運営する事業の先駆けとして注目されたスマートデイズ社は、提携金融機関の積極的な融資の後押しもあり、2013年には売上高316億円計上するまでに事業を拡大して行きました。
積極的な展開で業容拡大を続ける中、同社物件への入居率は5割を下回っているような状態が続きました。新規の不動産オーナー募集では「入居率90%超」をうたっており、近年は新規の不動産オーナーからの売上で配当金支払いにあてる自転車操業の状態であったようです。
自転車操業の状態は長続きする事はなく、スマートデイズ社はオーナーに対して、一方的に「サブリース賃料の改定」を知らせる文書を送付しました。それにより同社のずさんな経営実態が浮き彫りになりました。そして2018年1月にはオーナー向け説明会で「賃料の支払いをストップすること」を公表、その後、一部のオーナーからの提訴を受けるなど事態は日を追うごとに厳しさを増して行きました。
経営が混乱するなか、スマートデイズ社の元代表であった大地則幸氏が退任し、株主であるオーシャナイズ株式会社の菅澤聡氏が新代表に就任し再建の意思を示していました。しかし、資金繰りの改善は見られず民事再生法の適用申請・監督命令となりました。さらにその後、民事再生手続きの申し立ては棄却され、破産手続きへ移行しました。
それでは、倒産に至るまで、実際にどのような情報が流れていたのかを見てみましょう。
株式会社スマートデイズの倒産までのアラーム情報まとめ
上記の画像を見ると、倒産の前兆として、何度かアラームが発生しています。
スマートデイズ社の最初のアラーム発生は、2015年4月のQ&Aサイトへの書き込みで、30年一括借上の仕組みについて懸念を示す内容でした。
2016年3月と8月にはスマートデイズ社が運営する「かぼちゃの馬車」入居者への就職斡旋などを貧困ビジネスとして批判する記事や、元代表の大地則幸氏とは別の実質的な経営者が同社を仕切っており、その人物の過去の逮捕歴などを指摘する情報があり、同社の経営実態に懸念があることから「注意」のアラームが発生しました。
2017年には、スマートデイズ社の資金調達に関する情報、登記情報で社名変更が判明し、それぞれ「チェック」のアラームが発生しています。同年11月には同社に対する問い合わせが集中し始めたため、「チェック」のアラームが発生しています。この頃には、同社への注目度が高まっていたことが分かります。
2018年1月にはスマートデイズ社の大地則幸氏が代表を退任したため、人事関連情報として「チェック」のアラームが発生しています。同月には再度、同社への問い合わせが集中したため、信用リスクの高まりから、「注意」のアラームが発生しました。
さらに同月には、スマートデイズ社が「シェアハウスオーナーに対する賃料支払をストップしている情報」や、「同社の資金繰りが自転車操業で経営破綻状態であること」を大手メディアなどで報じられ、「要警戒」のアラームが発生しました。その後も、同社の関連情報が次々に発生し、2018年4月9日に民事再生法の適用を申請しました。さらにその後も混乱は続き、民事再生手続きの申し立ては棄却され、破産手続きへ移行しました。
株式会社スマートデイズの倒産情報から分かること
インターネットで「スマートデイズ 倒産」や「かぼちゃの馬車 経営破綻」で検索すると様々な情報が出てきます。今回の倒産では、サブリース一括借上による賃料保証をうたい文句に不動産オーナーが金融機関から資金を調達し、当初の計画どおりに賃料収入が得られずに、借金返済にも影響を及ぼし、損害賠償訴訟を起こすなど社会問題化しました。
以前より、ネット上では同社のビジネスモデルや経営実態に疑念を抱く書き込みや記事が散見されました。取引をする際には、情報収集を怠らないという基本行動の大切さを痛感しました。
当社は「アラームボックス」の運営を通じて、継続的に倒産の前兆となりうる情報を入手しています。アラームボックスが与信管理における経営判断の一助となれば幸いです。
最後まで、お読みいただきまして、ありがとうございました。また、次回お会いしましょう。隔週木曜日の更新予定です。