経営セーフティ共済とは?知って得する中小企業のセーフティーネット制度

経営セーフティ共済

今回は、約43万社の中小企業が加入している連鎖倒産を防止する共済制度である「経営セーフティ共済」についてです。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の基本的な制度内容から、メリットやデメリット、損金算入による節税効果、申し込み方法までわかりやすく解説します。

目次

経営セーフティ共済とは

企業経営において、一般になんらかの共済や保険に加入していることでしょう。その中で、特に中小企業に広く普及している「経営セーフティ共済とは何か」について解説をしていきます。

経営セーフティ共済とは?セーフティ共済ってなに?共済制度の運営者は?

経営セーフティ共済とは、取引先の会社が倒産した際に、中小企業が資金繰り悪化による連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための共済制度です。つまり万が一の際に安全網になるわけです。経営セーフティ共済は中小企業倒産防止共済とも呼ばれています。

この経営セーフティ共済制度のはじまりは、昭和40年代後半から景気後退に伴い倒産件数が増加する中、取引先数が限定され、取引先企業の財務情報などの入手も困難な中小企業は、突然の取引先企業の倒産で被害を受けることが多いことから、中小企業の相互救済のための仕組みとして昭和53年4月にスタートしました。現在この経営セーフティ共済を運営しているのは、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)です。

どうやって連鎖倒産、経営難を防ぐの?

簡単に説明すると、企業が予め掛金を納めておけば、取引先が倒産した時に融資が受けることができるのです。すなわち取引先からの未入金の影響によって資金繰りが悪化した場合に特別な融資を受ける事で一時的に経営を持ちこたえることができるというものです。まさにセーフティネットの役割を果たす制度です。

実際にどのぐらいの金額を借りれるのか、利息はどれくらいとかの詳しい内容はこの後しっかり説明します。

経営セーフティ共済を詳しく解説

経営セーフティ共済の加入資格について

経営セーフティ共済の加入資格は1年以上事業を行っている中小企業で、業種により様々な「資本金の額または出資の総額」、「常時使用する従業員数」の条件の違いがあります。

業種 資本金の額または出資の総額 常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業その他の業種 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
ゴム製品製造業(自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く。) 3億円以下 900人以下
ソフトウェア業または情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下

(中小機構HPより抜粋)

また、上記の要件を満たしていても、以下のいずれかに該当する場合は加入できません。

  • 住所または主たる事業の変更を繰り返し行ったため、継続的な取引の状況の把握が困難な場合
  • 事業にかかわる経理内容が不明の場合
  • すでに借入れを受けた共済金または一時貸付金の返済を怠っている場合
  • 中小機構から返還請求を受けた共済金、一時貸付金、早期償還手当金、解約手当金の返還を怠っている場合
  • 納付すべき所得税または法人税を滞納している場合
  • 12か月分以上掛金の納付を怠ったため、または偽りその他不正の行為等のため、中小機構によって共済契約を解除され、解除された日から1年を経過していない場合
  • 偽りその他不正の行為により共済金もしくは一時貸付金の借入れ、または早期償還手当金もしくは解約手当金の支給を受け、または受けようとした日から1年を経過していない場合
  • 現に共済契約者となっている場合(重複加入はできません)

経営セーフティ共済の掛金について

経営セーフティ共済加入後の掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べ、増額または減額できます。掛金総額が掛金月額の40倍以上に達している場合、掛金の払込みを止めることができます。また、共済金の借入れを受けた場合も、6か月間は掛金の払込みを止めることができます。

経営セーフティ共済で払い込んだ掛金は、税法上、法人の場合は損金、個人の場合は必要経費に算入できます。また、1年以内の前納掛金も払い込んだ期の損金または必要経費に算入できます。前納の期間が1年を超えるものは、各事業年度末(決算期)において、期間の経過に応じて、必要経費または損金の額に算入できます。

取引先がどのようになったら、共済金の借り入れができるの?

経営セーフティ共済1

経営セーフティ共済では、「取引先事業者が倒産したことにより売掛金債権等の回収が困難となった場合に、共済金の借入れが受けられます」と定められています。

本制度における「倒産」とは、取引先事業者が以下のような状態であるときを指します。なお、「夜逃げ」は、本制度の取引先事業者の「倒産」には該当しません。

法的整理 破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始、特別清算開始の申立てがされること

倒産日:申立てがされた日

取引停止処分 手形交換所に参加する金融機関によって取引停止処分を受けること

倒産日:取引停止処分の日

私的整理 債務整理の委託を受けた弁護士または認定司法書士によって、共済契約者に対し支払いを停止する旨の通知がされること

倒産日:通知がされた日

災害による不渡り 甚大な災害の発生によって、手形や小切手等が「災害による不渡り」となること

倒産日:当該手形等の手形交換日または呈示日

特定非常災害による支払不能 特定非常災害(※1)により代表者が死亡等した場合に、弁護士等によって、共済契約者に対し支払いを停止する旨の通知がされること

倒産日:通知がされた日

※1 政府が「特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律」に基づき指定する大規模な災害

注意事項

倒産日から6か月を経過した場合には共済金の借入手続きを行うことはできません。(中小機構HP抜粋)

いよいよ取引先が倒産!借り入れできる額は?

経営セーフティ共済の共済金の借入額は、被害額と掛金総額の10倍に相当する額のいずれか少ない額となります。借入額は原則、50万円から8,000万円で5万円単位の額となります。

ちなみに担保・保証人は不要で、借入れは無利子です。ただし、借入れ後は、共済金の借入額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除されます。

返済期間や金額は?

経営セーフティ共済の返済期間は、借入額に応じて変わります。

5,000万円未満は5年、5,000万円以上6,500万円未満は6年、6,500万円以上8,000万円以下は7年で、6か月の据置期間の後、返済期間が5年の場合は54か月、6年の場合は66か月、7年の場合は78か月の均等分割により毎月返済になります。

ただし、気を付けないといけないのが、加入していても、以下のいずれかに該当する場合は、共済金の借入れができません

  • 取引先事業者の倒産が、加入後6か月未満に生じたものであるとき
  • 加入から取引先事業者の倒産日までに、6か月分以上の掛金を納付していないとき
  • 共済金の借入手続きが、取引先事業者の倒産日から6か月を経過した後になされたものであるとき
  • 共済金の借入時に共済契約者が中小企業者でないとき
  • 借入額が少額であって、次の[1]また[2]のいずれの額にも達しないとき
[1]50万円(共済契約締結時の掛金月額が5,000円であり、かつ共済契約が効力を生じた日から共済金の借入手続きの日までの期間が6か月以上10か月未満である共済契約者にあっては、5,000円に掛金の納付をすべきであった月数を乗じて得た額の10倍に相当する額)

[2]共済契約者の月間の総取引額の20%に相当する額

  • 共済金の借入手続きをした共済契約者に倒産または倒産に準ずる事態が生じているとき
  • 共済契約者がすでに借り入れた共済金の返済を怠っているとき
  • 倒産した取引先事業者に対し、売掛金債権等を有することとなったこと、またはその回収が困難となったことにつき、共済契約者に悪意または重大な過失があったとき
  • 上記のほか、共済契約者と倒産した取引先事業者との取引額、代金の支払方法などが確認できないとき

経営セーフティ共済の適切な申し込み時期は?

まずは参加資格から1年以上の事業を行っていないといけない点と加入していても6か月以上の掛金を納付していないといけない点も踏まえて、1年以上事業をしている企業で、取引先が増えてきているのであれば、経営セーフティ共済にすぐに申し込んでも良いかと思います。

自身の会社がどれだけ健全経営でも「取引先の倒産」という事態はいつ起こるかわからないですよね。取引先の倒産による影響で、経営悪化して苦しい思いをしたという話を少なからず一度以上は聞いたことあるはずですから。不安にさせるわけではないですが、将来なにが起きるかは誰もわかりません・・・備えあれば憂いなしのためのセーフティネットです。

また、後程メリットで説明しますが、経営セーフティ共済では納付した金額が経費となって節税効果を得られたり、40か月以上支払うと解約した場合にそれまで支払った掛金が全額戻ってくる事も考えると、できるだけ早く加入した方が良いかもしれませんね。

経営セーフティ共済に加入する4つメリット

経営セーフティ共済2

これまで説明した経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)のメリットは4つにまとめることができます。

無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入れ可能

経営セーフティ共済の共済金の借入れは、無担保・無保証人で受けられます。共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の、いずれか少ないほうの金額となります。しかも返済期間も5年以上と長いのもメリットですね。

取引先が倒産後、すぐに借入れできる

経営セーフティ共済では、取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れることができます

掛金の税制優遇で高い節税効果

経営セーフティ共済の掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べ、増額または減額できます。また確定申告の際、掛金を損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入できるので、節税効果があります。倒産リスクに備えながら節税できるのは大きなメリットではないでしょうか。

解約手当金が受けとれる

経営セーフティ共済の共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります。(12か月未満は掛け捨てとなります)倒産リスクに備えながら最終的には納めた額の全額が戻ってくるのは安心ですね。

経営セーフティ共済のデメリットと申し込み時の注意点

経営セーフティ共済3

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)のデメリットや注意点についても説明します。

借入を受けると掛金から控除される

経営セーフティ共済で共済金の借入を受けると、共済金の借入額の10分の1に相当する額が払い込んだ掛金から控除されます。例えば、掛金が200万円を積立てしている時に取引先が倒産。売掛金が2,000万円ある場合、掛金の10倍の2,000万円までの借入ができます。

ただし、貸付金2,000万円の10%である200万円が積み立てている金額から控除されて無くなります。借入に対する利子はかからないですが、上記の掛金の控除10%の金額を利子として考えると、短期で借入する銀行からの融資と比べてどちらにすべきかも判断が必要です。

解約手当金(解約した時に戻ってくる掛金)は全額益金となる

共済契約を解約した場合に戻ってくる解約手当金は税法上、法人の場合は益金(利益)として扱われます。そもそも支払った時に損金扱いをしているので当たり前ですが、気を付けないといけないのが、解約金はまとめて戻ってくるので解約手当金を戻すタイミングを考えないといけない事も経営セーフティ共済の注意点の1つであると思います。

納付期間が40か月以下であると全額戻ってこない

経営セーフティ共済の解約手当金は、解約の理由によって3種類に分類され、種類によって支給率が違います。

共済契約者が任意で自主的に解約する場合においては、下記の支給率になります。

1か月~11か月 支給率0%(全額返ってこない
12か月~23か月 給率80%
24か月~29か月 支給率85%
30か月~35か月 甚支給率90%
36か月~39か月 支給率95%
40か月以上 支給率100%

特に12か月未満だと掛金が一切返ってこないので、気を付けないといけないですね。

経営セーフティ共済と似ている取引信用保険や売掛保証サービス

経営セーフティ共済4

取引信用保険(提供:損害保険会社)

取引信用保険とは、取引先の倒産等により売上債権の回収を行えない場合、損害保険会社が保険金をお支払いする企業向け包括保険商品で、倒産保険とも呼ばれます。これにより債務不履行リスクを保全し、万が一、取引先の倒産等が生じた場合でも企業の期間損益に与える影響を低減することができます。

経営セーフティ共済と同様に企業の連鎖倒産防止を主目的として損害保険会社が提供しているため、取引金額の大きい上位取引先から保険を掛けるプランが多いです。

売掛保証サービス(提供:売掛債権保証会社)

売掛保証サービスとは、取引先の倒産等により売上債権の回収を行えない場合、一般事業会社である保証会社が保証金お支払いする売掛金の損失保証サービスです。先程、説明した取引信用保険と同様に債務不履行リスクを保全し、万が一、取引先の倒産等が生じた場合でも貴社の期間損益に与える影響を低減することができます。

ただし、取引信用保険と違って、社数を少なく利用できたり、取引不安先だけにピンポイントで利用したり、企業のニーズに合わせて融通が利くものが多くなっています。

生命保険による節税対策(提供:生命保険会社)

生命保険も経営セーフティ共済と同様に節税や企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐために活用している企業も多いです。例えば、取引先の倒産等が発生するなどして、突発的な危機が生じた場合に、保険を全部解約、または一部解約し、解約返戻金を受け取って対応することができます。また、営業赤字の補填をすることができます。

ただし、経営セーフティ共済と同様に解約返戻金が低いタイミングで解約してしまうと損をするリスクがあります。生命保険の商品も色々あり、返戻率の高いタイミングが長めの商品とか、短めの商品がありますので、特に解約返戻率をみて加入する事をおすすめします。

経営セーフティ共済との同時利用やニーズに合わせた使い分け

実際に色々調べていると「経営セーフティ共済」と「取引信用保険や売掛保証サービス」を同時に利用したり、使い分けをしている企業が多いです。

同時に利用する企業の考え方としては、取引先の倒産による影響の大きさによって保険や保証からの保険金や保証履行金だけで対応したり、共済からの融資と併用して万が一のリスクに広く対応できるように備えています。

別々に使い分けている企業の考え方として、経営セーフティ共済だけを利用している企業は、やはり掛金や解約返戻金による節税効果や掛金が積立てられている安心感で利用している企業の方が多いと思います。

逆に取引信用保険や売掛保証サービスだけを利用している企業は経営セーフティ共済によるリスクヘッジはあくまで融資制度なので、最終的には融資返済をするのが嫌という企業は、返済義務の無い保険金がおりる保険や保証を利用しています。

アラームボックスからお知らせ

売掛保証セキュアボックス

経営セーフティ共済について書きましたが、経営セーフティ共済は、現在約43万の企業や事業者等が加入していて、共済金の貸付け実績は、累計で約27万件、約1兆9,000億円となっており、加入業者は年々増加しているようです。(平成29年3月末現在:中小機構HPより)。色々なメリット、デメリットを理解した上で、自社ではコントロールができない取引先の倒産リスクに備えて、経営セーフティ共済や保険、保証を検討してみては、いかがでしょうか。

さいごまでお読みいただきまして、ありがとうございました。少しだけお知らせです。

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