【株式会社則武地所】倒産情報レビュー(第56回)

画像はイメージです。実際とは異なる場合があります。

56回目の倒産レビューは、木造住宅の建築・販売を行っていた「株式会社則武地所」です。

株式会社則武地所概要

法人名株式会社則武地所
代表者佐野 由美子
所在地神奈川県相模原市中央区相模原2丁目11番27号
法人番号2021001046978
業種建築工事業
資本金500万円
倒産日2021/5/19
倒産種別破産
負債総額約6億円
設立2011年12月9日

株式会社則武地所について

株式会社則武地所は2000年に創業、2011年に法人設立。

相模原市や八王子市などの周辺を営業エリアとして、賃貸用集合住宅を中心に木造建築を請け負っていました。建築単価を一般的な相場より低価格に抑えることで、投資効率が高い物件として受注を獲得。ピーク時の2017年には年間売上高約20億円を計上していました。

しかし、2019年頃から同社に支払い遅延の噂などが発生しており、同業界内では信用が低下していました。

その後も、産業廃棄物の処理について行政処分が出されるなどトラブルが発生していましたが、2021年4月に同社が施工したアパートの外階段で崩落死事故が発生。事件発生当初は「連絡をもらえればメンテナンスを行った」として、補修依頼をもらっていない旨を発表していましたが、後の調査により、その他の物件でも施工不良が発覚したことで信用が失墜してしまいました。その結果、他社との契約解除が相次ぎ、新規受注を見込めないことから事業を断念し、今回の措置となりました。

株式会社則武地所の倒産までのアラーム情報まとめ

上記の画像を見ると、倒産の兆候として、何度かアラームが発生しています。

2019年は、提携調査会社から、支払い遅延があったがすぐに解消されたという情報を入手したため、「チェック」のアラームが発生しています。

2020年は、神奈川県から産業廃棄物の処理を適切に行わなかったとして廃棄物撤去に係る指導を受けており、「注意」のアラームが発生しています。

また、この頃からSNS上で「同社の工事現場を見てみると手抜きに見える」といったような口コミが見られるようになりました。

2021年は、弊社の独自情報で、業界内不評や支払いトラブルの情報を入手し、「注意」のアラームが発生しています。

また、4月には八王子市で同社の施工したアパートで崩落死事故が発生し、警察による家宅捜査や元社員からの告発が相次いだため、「要警戒」のアラームが発生しています。同社は、今後も捜査には協力するとしたうえで事業の見通しが立たないため、5月19日に横浜地裁より破産手続き開始決定を受けました。

株式会社則武地所の倒産からわかること

インターネットで「株式会社則武地所 倒産」「株式会社則武地所 評判」で検索すると様々な情報が出てきます。

今回の倒産は、以前より業界内では企業体制を問題視されていた企業が、最終的には施工不良の発覚により信用が失墜したことで起きてしまいました。同業他社や調査会社は、時として独自の情報網を持っていることで、早期に企業の与信審査に反映することができる場合があります。

また、今回事故を起こしてしまった企業は倒産することとなりましたが、施工不良のアパートを建築した当時の代表者が未だ別法人を運営している為、そちらの会社も継続的にチェックするべきだという声もあがっています。

企業調査を行う際には、業界での評判や、調査会社の独自情報も役立つことがよくわかる事例となりました。

当社は「アラームボックス」の運営を通じて、継続的に倒産の前兆となりうる情報を入手しています。アラームボックスが与信管理における経営判断の一助となれば幸いです。

最後まで、お読みいただきまして、ありがとうございました。