M&Aはデータ分析が成功の鍵。M&A市場規模は今後も拡大の見通し!

画像はイメージです。実際とは異なる場合があります。

M&Aとは簡単にいうと会社同士の合併、または買収のことです。近年ではM&A活発化しており、2022年には過去最高記録を更新する勢いで、件数が伸び続けています。そのため、M&Aという言葉を日常的に耳にしたことがある人も多いでしょう。しかし、その意味やM&Aが持つメリット・デメリットまでは知らないという人もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、M&Aの概要や市場規模、メリット・デメリット、流れなどを網羅的に解説します。

M&Aとは

M&Aとは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略称です。日本語では「企業の合併買収」という意味になり、その名のとおり2つ以上の会社が合併したり、とある会社が別の会社を買収したりすることをM&Aと呼びます。また、広くは合併・買収に加えて提携を含めてM&Aと呼ぶこともあります。
国内での歴史は古く、そのはじまりは19世紀にまで遡ります。今日までの長い歴史のなかで一時期、終戦の影響で下火になりましたが、1980年代からは再びその勢いを増し、2000年代にかけてその市場は右肩上がりに成長してきました。この成長の理由には、後継者不足や事業の最適化、事業の拡大などが挙げられます。
M&Aと聞くと、外資系企業が日本の会社を乗っ取といったイメージをもつ人もいますが、近年では事業を継続させ、企業を成長させるための戦略の一つであるため、決してネガティブなものだけではありません。

M&A件数の推移と市場規模


引用元:株式会社レコフ

株式会社レコフの発表によると、1985年の260件から2017年には3,000件を超え、2年後の2019年には4,000件を超えるなど、M&Aはここ数年で急激な成長を見せています。2020年には新型コロナウイルスの影響で若干の減少を見せましたが、それでも3,500件超えをキープしており、翌年には過去最高件数を記録しました。さらに2022年の上半期では前年度を既に上回る件数となっているため、2021年を超える期待が寄せられています。

また、中小企業庁からは中小企業を対象に、令和4年度予算で事業承継型M&Aに対して補助金制度の公募が開始されています。このことから見ても、M&Aの市場規模は今後も拡大していくことが予想されます。

M&Aデータベース

これまでに行われたM&Aの記録は、M&Aデータベースにて公開されています。提供元によって開示内容は異なりますが、一般的に下記のような情報を閲覧できます。

  • ・開示日
  • ・会社名
  • ・業種
  • ・スキーム
  • ・取引総額

企業がM&Aをするといった重大な意思決定を行う際には、戦略の立案やシナジー(相乗効果)試算などにおいてデータの分析がとても重要です。そのため、こうしたデータサービスの活用が必須になります。

M&Aのメリットとデメリット

M&Aには、売り手側・買い手側それぞれにメリット・デメリットが存在します。各立場におけるメリット・デメリットを把握せずにM&Aを進めてしまうと、デメリットがメリットを打ち消してしまうことも考えられます。そのため、M&Aを行う際はメリット・デメリットを総合的に判断して進める必要があります。

売り手側のメリットとデメリット

売り手側のメリット・デメリットは下記のとおりです

売り手側のメリット売り手側のデメリット
・事業継承問題の解決
・企業の存続と発展
・個人保証による負債の精算
・従業員の雇用維持
・売却による収入
・売却益には税金がかかる
・取引先とトラブルになる可能性がある
・最適なマッチング先が見つからない可能性がある

特に中小企業においては経営者の高齢化が深刻化していますが、親族や従業員のなかに後継者が見つからないという問題もM&Aであれば解決可能です。また、経営者が個人保証によって会社の負債を背負っている場合は、譲渡先に負債を引き継いでもらえるというメリットがあります。
一方で、M&Aを行う場合には、さまざまな税金が発生するほか、企業のオーナーや経営方針の変更に対して合意が取れずに既存の取引先とトラブルに発展することも考えられます。

買い手側のメリットとデメリット

続いて買い手側のメリットとデメリットを紹介します。

買い手側のメリット買い手側のデメリット
・規制市場への参入
・生産性・収益性・競争力の強化
・シナジー効果
・事業規模の拡大
・期待した効果が見込めない可能性もある
・債務を引き継ぐ可能性もある
・莫大な資金が必要

譲り受ける企業が金融や航空などの規制業界である場合、許認可を含めて譲り受けることになるので、新規参入するよりも手続きにかかる時間を削減できます。また、人材やノウハウも一緒に譲り受けることになるため、生産性および収益性の向上が見込めるうえに、市場シェアの獲得に繋がるため、競争力の強化もできるなど、一石二鳥以上の効果を生みます。
一方で、譲受には莫大な資金が必要です。さらに簿外債務(貸借対照表に未記載の債務)や、偶発債務(今後発生する可能性のある債務)を引き継ぐ可能性も考えられるうえに、労働条件や環境の変化に反発した従業員の離職も懸念されます。

M&Aの流れ

M&Aを実施する際の、大まかな流れは下記のとおりです。

M&Aの流れ
  1. 検討・準備
  2. マッチング・交渉
  3. 最終契約

検討・準備

まず、M&Aを通して達成したい目標を明確にします。M&Aはただの手段に過ぎないので、その先で何を達成したいのかを明確しないまま進めてしまうと、M&A自体が目的となってしまうので注意が必要です。
また、この段階で売り手側、買い手側が検討すべきポイントと準備しておくとよいものを以下にまとめました。

売り手側買い手側
検討すべきポイント・譲渡対価の金額
・譲渡のタイミング
・役員・従業員の待遇
・ブランド・商品の引き継ぎ
・経営者の退職金・個人保証の解消など
・成長戦略
・交渉条件
・買収スキーム
事前準備・自社のアピールポイントとウィークポイントの整理
・財務諸表
・主要取引の契約書
・社内体制の構築
・買収先のリサーチ

M&Aを実施するには、財務や税務、法務など、幅広くかつ専門的な知識が必要です。また、交渉や手続きにおいては管理が複雑になるため、この段階でM&A専門業者(プラットフォームや仲介業者)の選定も行います。

マッチング・交渉

M&A専門業者と契約をして、マッチング・交渉に入ります。売り手側、買い手側でそれぞれ下記のようにマッチング相手を選定します。

売り手側企業の概要やM&Aの条件を記載したノンネームシートを作成。情報漏えい防止のために情報は抽象的に記載される。
買い手側売り手側から提示されたノンネームシートや独自調査をもとに、売り手企業の魅力度や買収の実現可能性を探る。

上記のやりとりは専門業者を介して行われます。さらに交渉を進めるためには、買い手側としてはより詳しい情報を得る必要があります。そこで秘密保持契約を締結して、売り手企業の内部事情、インフォメーションメモランダム、プロセスレターといった基礎情報の開示を請求します。その後は情報の分析、トップ同士の面談、基本合意締結を行います。

最終契約

最終契約に向けて、法務や財務、税務、ITなど各方面から売り手企業が抱えているリスクや問題点を抽出するデューディリジェンス(DD)を行います。買い手側はこのプロセスで見えた売り手企業の問題に対して、買収価格やスキームの見直しを検討します。
さらに売り手側に対して、リスク低減の施策の実行や補償についての要求を出して最終交渉に入ります。最終交渉がまとまって最終契約を締結すればM&Aの成立です。

M&Aを成功させるポイント

M&Aを成功させるためには、下記のポイントをおさえる必要があります。

M&Aを成功させるポイント
・データ分析を慎重に行う
・初心者は仲介業者を利用する

データ分析を慎重に行う

たとえばマッチングプラットフォームを活用する場合は、マッチングまでスムーズにいったとしても、交渉を行うのは経営者同士であり、交渉のプロではありません。そのため、M&Aに踏み切るかどうかを判断するためにDDをはじめ、各種データから自社の「強み・弱み・市場における機会・脅威」など、交渉材料を用意して臨む必要があります。
データの分析はM&A達成後の目標に沿って行う必要があり、分析を誤ってしまうと有用な交渉材料として使用できないため、交渉の難航や希望しない条件での売却に繋がります。
また、データの分析と同じくらい大切なのが、「信用」と「評判」のチェックです。これらの情報はインターネットやSNS、新聞などで収集が可能ですが、時間と手間がかかりすぎるのが難点です。経済の動向に左右されやすいM&A業界では、早めの決断が求められるため、スピーディーな情報収集が求められます。

アラームボックスのパワーサーチが情報収集を代行

アラームボックスが提供するパワーサーチでは、M&Aにおいて重要な、信用調査、反社チェック、風評チェックがスピーディーに行えます。
リスク情報は過去3年分を提供しており、信用状況を5段階に分けることでより信頼性の高い取引先の選定を可能にします。また、公的機関をはじめSNSや独自で入手した情報をもとに、信用状況に影響を与える度合いを3段階でお知らせするので、リアルタイムでの取引先の状況把握も可能です。ワンコインで対応可能な反社チェックも合わせて行っておけば、不安のない交渉を実現できるでしょう。

初心者は仲介業者を利用する

データの分析が難航したり、過去にM&Aの経験がないために最終決定ができなかったりする場合は、仲介業者を利用がおすすめです。
特に中小企業同士の場合は、仲介業者を利用せずにM&Aを進めてしまって失敗するケースが後を絶ちません。M&Aは各方面への影響も大きく繊細なものであるため、経験や知識がない場合は無理せず仲介業者を頼りましょう。仲介業者を選ぶ際は、同じ業種や規模の案件を扱った実績のある業者を選ぶのがポイントです。

まとめ

合併や買収と聞くとネガティブなイメージを持ってしまいがちですが、M&Aは後継者不足の解消や事業拡大といった問題解決の手段であり、決してネガティブなものではありません。むしろ多くの上場企業もM&Aを検討しているといわれており、経営難で困っている、または事業拡大を狙う経営者にとっては有効な選択肢の一つです。
ただし、M&Aは各方面に与える影響が大きいことから、専門家の知識が必要不可欠です。また、成功させるには情報収集力がものをいいます。これらの課題をクリアしてM&Aを成功させるためにも、仲介業者や情報収集サービスの利用を検討するのがおすすめです。