差押えと仮差押え – 売掛金回収・未回収の分かれ道(第6回)

差押え

こんにちは。アラームボックス取締役審査部長の高見です。「売掛金回収と未回収の分かれ道」第6回の今回は、差押え(強制執行)と仮差押えに関するお話です。売掛金の回収のための有効な方法なので、しっかり理解を深めていきましょう。

差押え(強制執行)について

まずは差押え(強制執行)の基本内容について知っておきましょう。

差押え(強制執行)とは?

差押え(強制執行)とは、売掛金などの未回収が続いている場合に、債務者である取引先が保有する財産(不動産、動産、債権など)を勝手に処分できなくする手続きです。具体的には、裁判所による手続きを通じて、取引先企業の財産から売掛金相当額を回収をしていくことになります

どんな時に差押え(強制執行)するの?

前回まで、主に執行証書(強制執行認諾文言付公正証書)、仮執行宣言付支払督促、確定判決、和解調書といった債務名義の取得についてご説明してきました。

このような債務名義を取得するための手続を進めるなかで債務者(取引先)から売掛金が任意に支払われることもありますが、売掛金が支払われない場合には差押え(強制執行)に進まざるを得ません。

売掛金が回収できないときの差押え(強制執行)の手続き

強制執行を行うためには債務名義のほか原則として執行文が必要です(※1)。執行文は裁判所から(執行証書の場合は公証人から)付与されます。強制執行の対象となる売掛金の債務者の財産としては不動産、動産、債権等がありますが、たとえば不動産に対する強制執行は不動産所在地を管轄する地方裁判所が行います(※2)。

みなさんの会社が東京に、債務者である取引先が大阪にあり、東京または大阪の裁判所から確定判決のような債務名義を得たとしても、債務者の所有する不動産が京都にある場合は京都地方裁判所が強制執行を担当することになります。

債務名義を与える機関(裁判所または公証人)と債務名義にもとづき強制執行を行う機関(執行裁判所または執行官)は異なるため、両者をつなぐものとして執行文が必要となるわけです。

仮差押えについて

仮差押え

次に仮差押えの基本内容について知っておきましょう。

仮差押えとは?

仮差押え(強制執行)とは、売掛金などの未回収が続いていて、差押え(強制執行)の手続き準備中に、債務者である取引先の財産の処分に制約を加える手続きです。仮差押えに対して、差押え(強制執行)のことを本差押えといいます。

仮差押えが必要な理由

差押えを行ったとしても、債務者(取引先)が所有していたはずの不動産がいつの間にか別名義になっているようなこともあります。債務名義に表示された売掛金の債務者(取引先)と不動産の所有者(登記名義人)が異なっている場合には差押えを行うことはできません。

そこで、売掛金債権の回収の確実性を高めるため、債務名義を取得するのに先立って債務者(取引先)が所有する財産を「仮」差押えすることも行われます(※3)。上の不動産の例でいうと、不動産に仮差押えの登記を行い、売掛金の債務者が第三者に所有権を移転したりすることをできなくするわけです。

差押え(強制執行)と仮差押えを確実に実行するために

「売掛金回収と未回収の分かれ道」シリーズでは、売掛金回収を自社で実施するための知識や手法をお伝えしてきました。しかし、差押えや仮差押え手続までも自社で完結させることはちょっと難しいかもしれません。

たとえば仮差押えを申し立てる場合、裁判官の面前でその必要性等を説明(疎明)しなければなりませんが(※4)、これは慣れた弁護士でないとなかなか難しいようです。したがって、売掛金回収手続のある局面では弁護士に関与してもらわざるを得ないことがあり、そのための費用も考慮する必要があります。

売掛金回収のために有効な、差押えや仮差押えを確実に実行することを第一に考えて、必要な方法を選択していきましょう。

次回は売掛金回収でよくある「売掛債権の他債権者との競合」

売掛保証セキュアボックス

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※1 民事執行法 第25条
※2 民事執行法 第44条
※3 民事保全法 第20条
※4 民事保全法 第13条

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