【株式会社エム・テック】倒産情報レビュー(第32回)

画像はイメージです。実際とは異なる場合があります。

32回目の倒産情報レビューは、PC橋梁を主体として公共工事を多く手がけてきた「株式会社エム・テック」です。

株式会社エム・テック 概要

会社名株式会社エム・テック
代表者(会長)松野 浩史
代表者(社長)向山 照愛
所在地埼玉県さいたま市浦和区高砂3-7-2
法人番号8030001001169
業種建設業 > 総合工事業
資本金4億6,637万円
倒産日2018年10月1日
倒産種別民事再生法の適用を申請
負債総額調査中

株式会社エム・テックについて

株式会社エム・テックの設立は1988年。創業者の松野浩史氏が瀬戸大橋のプロジェクトリーダーに抜擢され、そのプロジェクトの完成を機に独立しました。その後、2009年には元東証一部上場企業だった勝村建設が2度目の民事再生で倒産した際のスポンサーとして名乗りを上げ、注目されました。

同社は下請への支払いが度々滞ったり、公共工事での事故が発生し工事がストップするなど評判は芳しくなく、掲示板など口コミサイトでは、同社に対する批判の声が多数聞かれました。
また、2018年3月には東京地方検察庁から港則法違反により起訴され、数百にも及ぶ公共団体から入札停止の措置を受け、同社に対する信用は著しく低下しました。その結果、資金繰りに一段と窮するようになり、2018年10月に民事再生法の適用を申請し倒産しました。

それでは、倒産に至るまで、実際にどのような情報が流れていたのかを見てみましょう。

株式会社エム・テックの倒産までのアラーム情報まとめ

株式会社エム・テック 倒産情報

オンラインデータを活用した企業調査サービス「アラームボックス」による「株式会社エム・テック」の事後検証結果(一部省略)

上記の画像を見ると、倒産の前兆として、何度かアラームが発生しています。

株式会社エム・テックに関する風評は、2009年頃からインターネットの掲示板や知恵袋サイトで工事代金未払いに関する相談が書き込まれています。

倒産の前兆として直近3年分の風評を調べてみると、最初のアラーム発生は2015年6月で、ビジネス・専門誌に掲載された「エム・テック社」の工事の遅滞や入札経緯の不透明さについての記事でした。同年7月には自治体の速報議事録にも同様の事案についての記載があり、「注意」のアラームが発生しています。同年9月には、同社の社長が交代による「チェック」のアラームが発生しています。

また、2016年には当社が提携している調査会社から支払に関する情報を入手し、「注意」のアラームが発生しています。

2017年頃には、口コミサイトで「エム・テック社」の下請業者への支払い遅延や現場でのクレーム対応などトラブルに関する書き込みが見られ、「注意」のアラームが発生しています。さらに2018年に入ると、従業員への給与や立替精算期間に関する不満が口コミサイトに書き込まれるようになり、同社の一連のトラブルが続出していることから「要警戒」のアラームが発生しています。

2018年2月には取引先の一社だった建機レンタル会社「株式会社PROEARTH」の民事再生手続きが廃止され破産に移行した事を受け、影響度の大きさから「要警戒」のアラームが発生しています。

さらに同年3月には、東京地方検察庁から無許可での工事について港則法違反で起訴されたことを理由に大阪府など多くの自治体や民間企業から入札や指名停止を受け、「要警戒」のアラームが連続して発生しています。

「エム・テック社」は2018年10月に東京地裁へ民事再生法の適用を申請しました。その後の続報では、土木建築工事業者の「株式会社冨士工」がスポンサー候補としてあがったものの決まらず、民事再生手続き廃止決定とを受け、破産手続開始決定を受け倒産しました。

株式会社エム・テックの倒産情報から分かること

インターネットで「エム・テック 倒産」や「エム・テック 未払い」で検索すると様々な情報が出てきます。今回の倒産では、10年近く前から風評や噂が絶えなかった同社が、M&Aによって同業者を買収して事業を拡大しながら、不祥事による入札停止や取引先の不正リース問題など、多くの自治体や企業、金融機関を巻き込んでいきました。