企業調査とは?3つの必須項目を調べて企業の信用を測る

企業調査とは

画像はイメージです。実際とは異なる場合があります。

初めて取引する会社の情報をきちんと調査できていますか?
今回は、取引先企業のことを調べる「企業調査」についてです。企業調査の意味や目的、信用を判断するための3つの必須項目について、実務上の注意もふまえてわかりやすく解説します。

企業調査とは

まずは「企業調査とは何か」について簡単に説明していきます。

企業調査とは?

企業調査とは、特定の法人を対象にして信用状況を調べることです。具体的には企業同士が新たに掛け取引等を行う際に、取引相手先の決算書などの財務状況や業界内での評判などについて詳しく調査をすることです。「企業信用調査」「与信調査」とも呼ばれます。

企業調査の方法はいくつかありますが、最近ではまずインターネットで取引先企業の情報を検索して調べるのが一般的です。さらに詳しく調べたい場合は、必要に応じて信用調査会社に依頼をして調査を代行してもらうというような方法があります。また取引先企業の同業者に対して、ヒアリングを行うことも重要な情報源となるため、有効な企業調査方法の一つです。

企業調査の目的

初対面の人を信用してお金を貸す人はいないと思いますが、企業同士の新規取引でも同じ事が言えます。企業間取引のほとんどは掛取引(後からお金を支払ってもらう信用取引)で行われていますが、取引が開始して売掛債権が発生すると、そこには必ず「未回収」のリスクが出てきます。

企業調査の主な目的は、売掛債権の未回収リスクを軽減することです。当たり前の事ですが、未回収リスクは実際に全額回収できるまで常に付きまとう事となります。売掛債権の未回収リスクを軽減し、健全な取引を行うためにも、取引先企業がしっかり支払いをしてくれるかを事前に企業調査して把握しておくことが重要となります。

企業の信用を調べるための3つの必須項目

企業調査2

さて、これまで企業調査とその目的について述べてきましたが、実際に企業の信用力を調べるには取引先のどのような点を見れば良いのでしょうか。企業調査をする際の必須項目は3C(3C’s of Credit)と呼ばれる以下の項目があります。

企業調査の必須項目1 Character(信用度)

調査対象の会社や経営者が、過去に取引先などとトラブル(特に支払面など)を起こしていないか、誠実な対応をしているか、金融機関との取引は円滑かなどを調査します。

具体的には、会社訪問して経営者などとの面談をおこない、経営方針や人間性に問題がないか、合わせて社内の雰囲気なども確認しましょう。調査対象の会社の主要な仕入先や販売先からヒアリングができれば、取引状況や評判をチェックします。

また、会社の謄本やホームページで株主や業歴、代表者の略歴、経営姿勢などを調査します。この際、会社訪問時に収集した情報と大きな乖離がある場合は注意が必要です。さらに、インターネットで風評や従業員の書き込みなどをチェックしておくことも、内情を知るには有効です。

ここだけは注意!

誤解をしてはいけない点として、会社や経営者が誠実な対応をしているかどうかと、「社長の人柄が良い(お人好し)」ことを混同してはいけません。企業調査の目的は、支払いを確実にしてもらうことなので、経営姿勢や取引相手、金銭面に対して誠実かどうかをチェックしましょう。

企業調査の必須項目2 Capacity(収入面)

調査対象の会社が円滑に事業を行うための生産や販売体制が整っているか、売掛金を支払うだけの十分な売上収入を確保できているかを調査します。

具体的には、急激な売上減少や仕入価格の高騰など、安定的な収支を確保することが難しくなっていないかを、業界内の企業や金融機関などからヒアリングします。できれば直近の売上推移、受注や在庫状況、生産や出店の計画、資金の余裕などを調査対象の会社にヒアリングしましょう。

さらに、従業員の大量離職や拠点閉鎖、クレームや炎上、不祥事など、経営に大きな影響を与える事象が発生していないかも情報収集しましょう。必須項目1と同様に、これらの情報はインターネット上からも収集できます。

ここだけは注意!

業績が伸びている取引相手を確保したいのは当然ですが、急激に成長を続ける会社の中には内部管理体制がずさんであったり、コストも急増している場合があります。企業調査の際には、売上の成長に対して設備投資や人員増加が明らかに過剰でないか、支払が収入より先行してしまい資金繰りに懸念が出ないかをチェックしましょう。

企業調査の必須項目3 Capital(資産・財務状態)

調査対象の会社は不動産や現預金などの資産を所有しているか、万が一売掛金の未回収や手形の不渡りが発生したときに、返済原資または担保になりそうな資産について調査します。

具体的には、不動産謄本を取得して担保余力の有無と、取引金融機関への未払いや税金滞納による差し押さえがないかを調査します。決算書が取得できていれば、現預金や売掛金などの流動資産の金額や比率がどの程度あるかを確認しましょう。

また、直近で調査対象の会社が、焦げ付き(取引先の売掛債権が回収不能になること)による損失を被っている場合や、金融機関や仕入先などから動産や債権を譲渡登記されている場合、資金繰りに不安が生じる可能性もあるので、特に注意が必要です。

ここだけは注意!

例えば調査対象の会社が土地をたくさん保有しているから大丈夫と思うのは早計です。山林や耕作地などと宅地では相場が全く違います。また、価値がある不動産は全て金融機関等の抵当に入ってしまっていて、本業を圧迫するほどの借金を抱えていることもあります。未回収が発生したときに担保になりえる資産かどうか、内容を詳しくチェックしましょう。

企業調査をシンプルに考える

企業調査というと難しく感じるかもしれませんが、この3つの必須項目

  • Character(会社や経営者は信用するに値するか=信用度)
  • Capacity(支払をするための十分な収入があるか=収入面)
  • Capital(資産状況や財務の状態は健全か=資産・財務状態)

に焦点をあてて調査をすれば、企業の信用を測るための情報を入手することができるようになります。どのような方法で企業を調査する場合も、シンプルにこの3つを意識しましょう。

企業調査の実務と注意事項

続いて、企業を調べるための一般的な方法と、実務における注意事項を説明します。

企業調査3

企業調査の実務

企業調査の実務としては様々な方法があります。

・社内情報の調査
過去の支払い履歴や取引の交渉履歴など、社内の経理部門や営業部門で蓄積されている情報を調査します。

・外部情報の調査
インターネットや行政の発信情報など、無料で公開されている情報の調査や、新聞や業界誌、登記情報など、有料で取得できる情報を調査します。
また、必要に応じて、企業調査専門の会社への調査依頼も行います。

・取引先や販売先への直接調査
会社を訪問し、代表者や従業員から直接ヒアリングして情報を調査します。ヒアリングベースだけでなく、可能であれば決算書などの定量情報も入手します。また、主要な仕入先や金融機関へもヒアリングを行い情報を調査します。

ここで紹介したいずれかの企業調査方法だけを採用するのではなく、必要に応じて組み合わせて企業調査を行います。例えば取引金額が大きい場合は、労力や費用を掛けてでも詳しく調査すべきですし、少ない取引金額で支払期日までが短期間の場合は、最低限の企業調査で取引を開始してみるなどの柔軟性も必要でしょう。

企業調査は掛取引していて売掛債権を保有する企業にとって必要不可欠な業務なので、企業調査にかかっている時間やコストをいかに効率的にしていくかが、人手不足の時代における各企業の課題と言えるでしょう。

企業調査における注意事項

大手企業であれば企業調査業務を専門で担当している部署がありますが、ほとんどの中小企業は、経理や法務部門の担当者が兼任しているケースが多く、決算期など繁忙期になると企業調査業務に十分な時間を使うことができなくなる可能性があります。

しかし、繁忙期に新規で飛び込んでくる商談ほど注意が必要です。他の取引先で掛取引を断られている企業や、運が悪いと取り込み詐欺のようなケースもあります。企業調査を怠って重要な情報を見逃すと、思わぬ未回収被害を受けてしまいます。

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