【日医工株式会社レビュー】事業再生ADRの流れ

画像はイメージです。実際とは異なる場合があります。

2022年5月13日、ジェネリック医薬品の製造を手掛けていた「日医工株式会社」が事業再生ADRの申請を行いました。

事業再生ADRを申請するまでの流れや、アラームボックスではどのような情報を収集していたのかについて解説します。

日医工株式会社 概要

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会社名日医工株式会社
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代表者田村 友一
所在地富山県富山市総曲輪1丁目6番21
法人番号1230001002236
業種化学工業
資本金233億6000万円
市場情報東証1部 4541
主要株主株式会社TAMURA 7.11%
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 6.17%
株式会社北陸銀行 4.41%
株式会社拓 3.31%
(2021年3月31日現在)
取引金融機関北陸銀行
三井住友銀行
三井住友信託銀行
三菱UFJ銀行
日本政策投資銀行
農林中央金庫
北國銀行
富山銀行
関連会社子会社日医工岐阜工場株式会社
エルメッド株式会社 
ヤクハン製薬株式会社
株式会社イーエムアイ 
株式会社日医工オオサカ

日医工株式会社について

日医工株式会社は1965年設立。同社は、ジェネリック医薬品の製造を主力に手掛け、国内シェア上位を誇っていたほか、一般用医薬品や先発医薬品の製造事業も展開していました。

医薬品を自主回収

同社の富山第一工場において、国の承認を得ていない工程で製品の製造を行っていたことや、承認書に記載された試験方法と異なる方法で試験を実施していたことなどが発覚。その後、製品の自主回収が相次ぎ、2020年4月から2021年1月にかけて、計75品目の医薬品を自主回収しました。

富山県から業務停止命令を受ける

2021年3月3日、同社が承認書と異なる方法で製造された医薬品を販売していたことが明らかになったため、富山県から24日間の業務停止命令を受けました。また、同社の製造工場である「富山第一工場」では、3月5日から4月5日までの計32日間、医薬品製造業として業務停止命令を受け、事業の停止を余儀なくされました。

事業再生ADRを申請

2022年5月13日、業務停止処分などの行政処分により経営・財務状況が悪化したため、経営再建を目的に私的整理の一種である事業再生ADR手続きを正式に申請したことを発表しました。

日医工株式会社の事業再生ADR申請までのアラーム情報まとめ

上記の画像を見ると、兆候として、何度かアラームが発生しています。

2020年以前にはSNSや掲示板上で「新製品製造のペースが遅い」「給与が上がらない」といった口コミがあり、「チェック」のアラームが発生、また、法定表示ラベルが張られていないということから自主回収のお知らせに関する「チェック」のアラームが発生していました。

2020年5月以降になると自主回収に関連する予算の修正や、役員の処分など、自主回収関連のアラーム情報が続きました。その後、2021年1月には、SNS上で、富山県から行政処分を受ける可能性があるという情報を受け「注意」のアラームが発生。2022年3月には業務停止命令を受けたとして「注意」のアラームが発生するとともに、企業の信用レベルを変更し、評価を下げています。
また、2021年5月には提携調査会社から、業界内で不安視され始めているという情報を入手したため「注意」のアラームが発生しています。

2021年6月になるとブログやSNSに同社の悪評や勤務体系給与体系に関する複数の投稿が見受けられ、「チェック」のアラームが発生していました。

2021年12月以降はアラームボックスが独自に収集した情報から、特許侵害に関して訴訟を受けたとして「注意」のアラームが複数回発生。その後、2022年5月に事業再生ADRが受理されました。

日医工株式会社の事業再生ADR申請からわかること

インターネットで「日医工株式会社 倒産」「日医工株式会社 評判」で検索すると様々な情報が出てきます。

事業再生ADRを申請した際の評判はこちら

今回は、医薬品の自主回収をきっかけに、信用が失墜し事業継続が難しくなり、事業再生ADRを申請しました。

後発品医薬品の需要が高まる中、同社は、後発品メーカーの「エルメッドエーザイ」や、「武田テバファーマ」の工場と一部の製品を買収するなど、積極的に事業拡大をしていた一方で、品質管理などに問題があったことから、ネット上の口コミなど定性情報の継続的な調査が必要なことがよくわかる事例となりました。

当社は「ラームボックス」の運営を通じて、法的整理や私的整理の前兆となりうる情報を継続的に入手しています。アラームボックスが与信管理における経営判断の一助となれば幸いです。
最後まで、お読みいただきまして、ありがとうございました。
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