あ行
赤字
赤字とは、支出が収入を上回っている状態のことを指します。赤字の例として、損益計算書から把握可能な数値では、売上総利益の赤字、営業利益の赤字、経常利益の赤字、税引前当期純利益の赤字、当期純利益の赤字があります。
また、赤字が発生した場合、資本準備金などで赤字分を補填するケースがほとんどです。しかし、補填しきれず、赤字が積み重なった場合は累積赤字となります。また、累積赤字が拡大し、株主資本の額を上回った場合、債務超過と呼ばれ、倒産や支払い遅延のリスクが高いとされる与信管理上好ましくない状態になります。
粗利益(売上総利益)
粗利益とは損益計算書に記載されている売上高から売上原価を差し引くことで求められるもので、売上総利益とも呼ばれています。
実際の売上から仕入れ費用や材料費などの原価を差し引くことで求めることができ、企業が販売する製品やサービスに対して、どれだけの価値をつけて販売することができたかを意味しています。つまり、企業が提供した付加価値はいくらかととらえることができます。粗利は単一の数値だけでみるのではなく粗利率(売上総利益÷売上高)でみていきます。過去の粗利率との比較や、同業界の競合他社との数値と比較することで企業の収益性を判断することが可能です。
安全性分析
安全性分析とは決算書などを分析する定量分析の一つで、企業の資産と負債を分析します。安全性分析では資金繰りなど、企業の財務基盤を確認することで経営の安全度を測ります。代表的な分析指標として流動比率・自己資本比率・借入月商比・借入依存度があります。
インサイダー取引
インサイダー取引とは、株式を公開している上場企業の情報を、会社内部の人間や、会社関係者から一般に公開される前に仕入れることで先に株式の売買を行う行為のことです。会社の代表や役員・従業員が行うこともそうですが、アルバイトが作業中に知ってしまった場合や、友人知人が働いており会話の中で直接知りえた場合もインサイダー取引に含まれます。
売掛金
売掛金とは、商品やサービスを提供した後、後払いで支払われる代金のことです。多くの企業間取引においては、製品やサービスの提供後、月末や数か月後に支払いが発生するケースがほとんどです。金額も大きく資金の流動性も高くなるため売掛金を活用した取引が行われています。
売掛金保証サービス
売掛金保証サービスとは、取引先と掛取引を行うにあたって発生する売掛債権に未回収が発生したとき、その未回収代金の全額または一部金額の支払いを保証会社が代わりに引き受けてくれるサービスです。保証を受けることができるか、いくらまで保証してもらえるかなどは各社によって異なってはいますが、取引の未回収リスクを下げるための有効な手段として利用されています。アラームボックスでもサービスを提供していますのでぜひご確認ください。
裏書手形
裏書手形とは、約束手形などの裏に会社名や代表者名、代表者肩書、住所、押印を行い、受け取った手形が第3者に譲渡できるようになった手形のことです。企業間取引において手形のやり取りは頻繁に行われていますが、手形が実際に現金化されるまで数か月の期間がかかることがほとんどです。そこで、手形を第3者に譲し、代わりに現金を振り込んでもらうという手法を使うことで早期に現金を手に入れることができます。ただし、記載事項に不備がある場合は手形が無効になる点や、手形を譲った後、手形を差出した会社が倒産し支払われなかった場合の支払い義務は残り続けるという点などのリスクがあります。
か行
買掛金
買掛金とは、取引先から商品やサービスは提供されているものの、自社が取引先に対してまだ支払いを行っていない代金のことです。売掛金は自社に対して支払われる代金なのに対し、買掛金は自社が支払う代金になります。
会社更生手続
会社更生手続とは、裁判所の監督下で行われる法的な倒産手続きのうち、事業継続を目指した再建型の倒産手続きのことです。会社更生手続は会社更生法に基づいており、株式会社のみ利用することができます。手続きの複雑さや手続きにかかる金額の大きさから、多くの場合は大企業において利用されています。
架空取引
架空取引とは実際には取引がないにも関わらず、取引があるかのように見せる手法です。架空の売り上げを計上することができるため、会計上の数値をよく見せ、業績が好調かのように騙すための手法として用いられています。
格付け
格付けとは、与信管理を会社全体で行うにあたり、取引先の信用度やリスクを一目で判断できるように設けられる基準のことです。取引履歴や定性分析、定量分析を行うことで取引先ごとの格付けを決めて行きます。
掛取引
掛取引とは、商品やサービスが提供された後に代金の支払いを行う形式の取引のことです。掛取引は、相手が支払いを行うことを信用して取引する必要があるため、信用取引とも呼ばれます。掛取引では代金の未回収リスクがあるため取引して問題ない相手かを見極める与信管理が重要になります。
貸倒
貸倒とは、取引先の倒産や夜逃げなどによって売掛金などの販売代金が取引先から回収できなくなることです。貸倒が発生すると自社の利益が失われ、場合によっては連鎖倒産となるだけでなく、決算書の対外的な見た目が悪くなる、対外的な信用が下がるなど様々な問題が発生します。
仮差押
仮差押とは、差押え(強制執行)が始まる前に財産を処分されないよう、債務者の財産を仮に(先に)に差押えを行い、債務者の財産処分に制限をかけることです。差押えが始まるまでには半年以上の時間がかかることが多く、差押えの準備中に財産を処分されないよう仮差押を行います。売掛金回収方法における有効な手段のひとつです。
期限の利益喪失
期限の利益喪失とは、支払期日までに返済を行っておけばいいという権利である「期限の利益」を失うことです。通常、債務者には「期限の利益」があるため、借りた金額の支払いを支払期日前に請求されることはありません。しかし、「期限の利益」があると、債務者が貸し倒れになる可能性が高くなった場合でも支払いを強制できないということになります。そこで契約書などに「期限の利益喪失」に関する条項を設けることで信用不安が発生した際、支払期日前であっても支払いを求めることができるようにします。
既存取引先調査(モニタリング)
既存取引先調査(モニタリング)とは、既存取引先について、継続的な与信調査を行うことです。企業状態は日々変化しているため、取引開始前には安全な企業であっても、数か月後には支払いが滞るケースはよく見受けられます。既存取引先調査(モニタリング)を行い、取引先の信用不安に対してすぐに対応できるようにしましょう。
休眠会社
休眠会社とは、長期間企業活動を行っていない会社のことです。会社法では最後に登記してから12年経過した会社とされています。株式会社の場合、役員の任期に期限が定められているため10年に1回は登記の変更を行う必要があります。そこで変更必須の期間を2年間過ぎた会社を休眠会社と定めています。また、休業届を提出することで休眠状態とすることも可能です。企業間取引では休眠会社を買収した取り込み詐欺も発生しています。与信調査を行い取引先の情報を把握するようにしましょう。
共同担保目録
共同担保目録とは、不動産登記簿謄本に記載される項目の一つで、一つの債権に対して設定されている不動産の担保をまとめたものです。ある債権に対して、1つの不動産価値では担保として足りない場合、複数の不動産を設定することがあります。また、土地付きの家の場合、土地だけでは競売にかけられないため建物も担保に設定することがあります。このように複数の不動産担保をまとめた一覧が共同担保目録です。
銀行取引停止処分
銀行取引停止処分とは、手形交換所の規則に基づいた制裁のことで、同一の手形交換所管内で6か月以内に2回手形の支払いができなかった場合、金融機関との当座取引や貸し出しの取引が2年間停止される処分のことです。銀行からの融資を受けられないだけでなく、手形での取引もできなくなるなど倒産に直結する内容であることが多いため事実上の倒産とみなされています。
経営セーフティ共済
経営セーフティ共済とは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する中小企業のための共済制度で、中小企業に多く見受けられる連鎖倒産のリスクや経営難を防止するため仕組みです。この制度は無担保・無保証での借入や、積み立てた掛金が解約時に戻ってくるなど多くのメリットがあります。あくまで借入であるため返済する必要がある点に注意が必要です。
効率性分析
効率性分析とは決算書などを分析する定量分析の一つで、自社の資産に対する利益率をはかる指標です。自社の資産を効率的に使用できているかを把握し利益の上げやすさをはかるだけでなく、競合他社と比べたときの優位性もはかることができます。代表的な指標として総資産回転数・売掛債権回転期間・棚卸資産回転期間があります。
コンプライアンスチェック
コンプライアンスチェックとは、取引先企業と反社会的勢力との関係を調査することです。反社チェックとも呼ばれています。社会運動や政治活動を装うなど、近年、反社会的勢力の活動は巧妙になってきています。気づかないうちに反社会的勢力とつながってしまうことで思わぬ損失を生まぬよう、取引先企業のコンプライアンスチェック(反社チェック)はしっかりと行う必要があります。
さ行
債権回収会社(サービサー)
債権回収会社とは、金融機関などが貸し付けた債権が未回収となった場合、債権者に代わって債権回収業務を行う会社のことです。サービサーとも呼ばれており、法務大臣の許可を受けている必要があります。国からの許可が必要であるため、暴力団の関与や、違法な取り立てが行われることはありません。
債権譲渡登記
債権譲渡登記とは、自社で持っている債権を第三者に譲渡した際、債権の権利が移ったことを証明するものです。債権譲渡登記ファイルに登記(登録)することで譲渡された会社がその債権の権利を主張することができます。自社の資金調達のために、取引先への債権(取引先から今後入金される予定の債権)を金融会社などに譲渡した際に、債権譲渡登記がされる場合があります。また、自社の信用が足りない場合の担保として登記されることもあります。取引先に債権譲渡登記が設定されている場合、その設定理由を確認し信用状態をしっかりと把握していきましょう。
債権保全
債権保全とは売掛金の未回収に備えて債権を確実に回収するために行う施策全般のことを指します。担保権の設定や契約書への条項記載、売掛金保証サービスなどの活用が挙げられます。
債務超過
債務超過とは会社が抱える負債の合計が資産の合計を超えている状態のことです。貸借対照表の資産の部と負債の部にて確認することができます。債務超過の状態になると金融機関からの融資が受けにくくなるなど、企業の信用状態は悪化します。ただし、債務超過に陥っているからと言って必ずしもすぐに倒産するわけではありません。
財務分析
財務分析とは、貸借対照表や損益計算書などの定量情報を分析することです。与信管理における財務分析では、収益性、安全性、成長性、効率性、生産性の5つの側面から企業を分析し支払い能力を判断していきます。
支払督促
支払督促とは、売掛金回収方法の1つで裁判所を通じて債権の支払いを命じることです。債務者からの異議申立がなければ裁判と同等の効力を発揮します。手数料の安さや、手続きの簡易性というメリットはありますが、債務者から異議申立があった場合は通常の訴訟に移行するため手続きの手間が増える、訴訟を取り下げる場合は支払督促の費用が無駄になるなどのデメリットもあります。
私的整理
私的整理とは、裁判所を通さず、債権者と債務者の間で行われる倒産手続きの一つです。裁判所外で行われるため公に公表されないというメリットがありますが、手続きの不透明性がデメリットにもなります。私的整理は当事者同士の話し合いのみで行う場合もありますが、その多くは「私的整理に関するガイドライン」などの一定のルールに基づいた手続きや、「事業再生ADR」「中小企業再生支援協議会」など第三者機関の介入による手続きが一般的です。
収益性分析
収益性分析とは、決算書などを分析する定量分析の一つで、会社の利益を生み出す力をはかる指標です。資産に対する利益の割合や、売上に対する利益の割合など、利益をどれだけ出せているかを確認していきます。代表的な指標として総資産利益率(ROA)・売上高営業利益率・売上総利益率などが挙げられます。
商業登記簿謄本
商業登記簿謄本とは、国に登録されている企業の基本事項が記載されているものです。与信管理の業務においては、取引先からの申告事項と商業登記簿謄本の内容に差異がないかの確認だけでなく、役員の反社チェックや社名の変更履歴に怪しい点がないかなどをチェックしていきます。
新規取引先調査
新規取引先調査とは、新しく取引を始める取引先に対して支払い面、コンプライアンス面、今後の成長性などを調査することです。定量情報と定性情報の両面から可能な限りの情報を収集し、取引可否の判断や、取引上限額を決定していきます。
信用リスク
信用リスクとは取引先の代金未回収リスクや反社会的勢力との関与など、取引に関与することで引き起こるリスクのことです。与信調査(信用調査)を行うことでリスクを判定していきます。調査した結果をもとに社内格付けに当てはめ、リスク度に応じて与信限度額や担保の設定を行います。
た行
担保
担保とは、債務者が万が一返済不能となった場合でも債権者が金銭を受け取れるように、あらかじめ債務者から提供されるもののことです。債権保全の方法として活用されています。担保の代表例として、保証人などの人的担保や、不動産、売掛債権などの物的担保が挙げられます。
定性情報・定性分析
定性情報とは、口コミや経営者の評判、会社の雰囲気など、数値で表すことのできない情報のことです。これらの定性情報を用いて会社の信用レベルを判断していくことを定性分析と言います。従来の与信管理では決算書を用いた定量分析が主流でした。しかし、決算書の入手が難しい、粉飾されていた場合に見抜くことができない、決算書が過去の情報になってしまうという問題点があっただけでなく、SNSの発展により定性情報が集まりやすくなったことなどから与信管理において定性情報の収集と分析が重要になっています。
抵当権
抵当権とは、不動産を担保にして融資を受ける際に設定される担保権のことです。抵当権を登記(登録)すると、不動産登記簿謄本の権利部に記載されます。与信管理において、抵当権を設定している会社がどのような会社なのかを確認することで、資金繰りの状況を把握する一つの手段として用いることができます。銀行ではなく債権回収会社(サービサー)などの場合は、資金繰りが芳しくないと判断することができるでしょう。
定量情報・定量分析
定量情報とは、財務諸表や決算書など数値で表される情報のことです。これらの定量情報を用いて会社の財務基盤や収益性などを分析していくことを定量分析と言います。与信管理における定量分析では、収益性、安全性、成長性、効率性、生産性の5つの側面から企業を分析していきます。また、数値で判断することができるため客観的な評価が容易であるというメリットがありますが、決算書の入手が難しい、粉飾されていた場合に見抜くことができない、決算書が過去の情報となってしまうというデメリットもあります。与信管理を行うにあたっては、定量情報だけでなく定性情報も収集し分析を行って行きましょう。
手形(約束手形)
手形とは、期日までに記載されている金額を支払うことを約束した証書・証券のことで、約束手形とも呼ばれています。手元に現金がなくとも支払いができる、裏書譲渡を行うと手形の権利を第三者に引き渡すことができるなどのメリットがあることから、企業間取引では度々用いられています。ただし原則として支払期日前の現金化ができません。期日前に現金化するためには手形割引を行う必要があります。
倒産
倒産とは、一般的には企業に支払い能力がなくなり事業を続けることができなくなった状態のことをさします。倒産という言葉が法律で定義されているわけではありません。倒産にはその手続き方法によって「法的整理」と「私的整理」の2つに分けられます。「法的整理」は裁判所を通して手続きが行われます。法的整理には事業継続を目指す「再建型」の手続きと、会社を消滅させる「清算型」の手続きがあります。「私的整理」は裁判所を通さず、債権者と債務者の間で行われます。当事者同士の話し合いのみで行う場合もありますが、一定のルールや第三者機関の介入による手続きが一般的です。また、夜逃げや銀行取引停止処分など、倒産手続きは行っていないものの事実上倒産状態とみなされるているものもあります。
特別清算
特別清算とは、裁判所を通して手続きを行う法的倒産のうち会社を消滅させる清算型手続きの一つです。株式会社のみの利用に限られているなど利用できる対象が限られていますが、破産に比べると清算にかかる費用が安いことや、手続きが素早い、倒産というイメージが小さいといったメリットが挙げられます。
取引信用保険
取引信用保険とは、取引先の倒産リスクに備えて企業が加入する保険のことです。信用リスクを外部に移転する債権保全施策の一つとして活用されています。取引信用保険を活用するメリットとして、貸倒リスクの低減や、保険会社が与信調査を行うことによる自社の与信管理業務の負担軽減、保険であるため節税対策として利用できるといった点があります。
動産
動産とは商品在庫、畜産動物などの動かすことができる財産のことです。民法第86条第1項において不動産は「土地及びその定着物」と定義されており、第2項では動産は「不動産以外の物」と定義されています。
動産譲渡登記
動産譲渡登記とは、動産が第三者に譲渡された際、その内容の証明や権利関係、担保状態を記載しているものです。不動産を持たない中小企業が融資を受ける際、商品在庫などの動産を担保として活用することがあり、その際の権利関係を明らかにするために活用されています。多くの場合、担保として設定された後も通常通り使用できるケースがほとんどです。
な行
内容証明郵便
内容証明郵便とは、いつ誰がどのような文書を誰宛に送ったという内容について郵便局が証明する郵便サービスのことです。内容証明郵便は前述した通り、どのような内容の文書がいつ配送されたかという証明がされるため、債権回収の際に度々用いられます。また、内容証明郵便は見慣れないということもあり、心理的なプレッシャーを与えることもできるため、支払い督促業務の有効な手段として活用されています。
根抵当権
根抵当権とは、抵当権と同様に不動産に対して設定される担保権のうち、決められた金額の範囲であれば何度でも担保として設定して融資を受けることができる担保権のことです。抵当権は決められた債権に対して一度きりであるのに対し、根抵当権は様々な債権に対して何度でも融資を受けることができます。企業では同じ不動産を担保に何度も融資を受ける場合があるため、根抵当権の設定により権利を登記する手間が少なくなるというメリットがあります。
は行
破産
破産とは、裁判所を通して手続きを行う法的倒産のうち会社を消滅させる清算型手続きの一つです。破産法に基づいた手続きであり、個人、法人問わず利用することができます。法的倒産の清算型手続きである特別清算は株式会社のみの利用に限られているのに対し、破産では対象が制限されていない点が異なっています。
反社チェック
反社チェックとは取引先企業と反社会的勢力との関係を調査することです。コンプライアンスチェックとも呼ばれています。
ファクタリング
ファクタリングとは、自社で持っている売掛債権を他社に買い取ってもらうことで、支払期日より前に現金に変える資金調達手段の一つです。銀行融資などと比べて手数料が高い傾向がありますが、自社の信用度よりも売掛先の信用度が重視され、短期間で現金が得られるなどのメリットがあります。また、ファクタリングには自社とファクタリング会社で完結するタイプの「2社間ファクタリング」と、自社と取引先とファクタリング会社の3社間で行うタイプの「3社間ファクタリング」があります。
不動産登記簿謄本
不動産登記簿謄本とは、不動産に関する基本情報や権利関係を明らかにするもので、不動産の場所や所有者、担保設定の有無などが記載されています。土地や建物の概要が記載されている「表題部」、所有者の情報や相続関係、差押え状態などの所有権に関する内容が記載されている「甲区」、抵当権・根抵当権など所有権以外の権利関係が記載されている「乙区」に分けられます。
不渡り
不渡りとは、約束した指定日までに手形や小切手の支払いができないことです。同一の手形交換所管内で6か月以内に2回の不渡りが発生すると銀行取引停止処分となり、事実上の倒産とみなされます。
粉飾決算
粉飾決算とは実態とは異なった会計処理を行うことで決算書を故意的に偽って作成することです。主な手法として、架空の売上計上や架空の在庫計上などが挙げられます。粉飾決算は法的な責任が発生し会社の信用も失墜するなど大きなリスクがあります。しかし、株主など外部からの見栄えをよくするためや、金融機関や投資家から融資を受けやすくするために粉飾決算を行う企業が後を立ちません。粉飾決算を行っている企業との取引を防ぐためには決算書などの定量情報だけでなく風評や会社の雰囲気などの定性情報も収集する必要があります。
法的整理
法的整理とは、裁判所を通して行う倒産手続きの一つです。法的整理には事業継続を目指す「再建型」の手続きと、会社を消滅させる「清算型」の手続きがあります。「再建型」手続きにはすべての法人・個人が利用できる民事再生手続と、株式会社のみが利用できる会社更生手続きがあります。「清算型」手続きにはすべての法人・個人が利用できる破産手続きと、株式会社のみが利用できる特別清算手続きがあります。
ま行
民事再生
民事再生とは、裁判所を通して手続きを行う法的倒産のうち、事業継続を目指した再建型の倒産手続きの1つです。民事再生手続きは民事再生法に基づいており、すべての法人・個人が利用対象となっています。裁判所監視下のもと事業再生を目指すにあたり、現経営者が退任する必要がなく手続き後も続投できるなどの特徴があります。
モニタリング
モニタリングとは、取引が開始した後、継続的に取引先の与信調査、情報収集を行うことです。既存取引先調査とも呼ばれています。
や行
有価証券報告書
有価証券報告書とは会社の財務状態や経営内容、企業情報を外部に伝えるための資料のことです。金融商取引法にて上場企業は事業年度ごとの作成を義務付けられています。投資家から資金を集めるにあたり自社の状況を正しく伝えるために作成されています。
与信
与信とは、漢字が意味する通り信用を与えるとことです。つまりは相手を信じるということです。後払いの取引では代金が未回収となるリスクが含まれていますが、相手が代金を支払ってくれると信用することで取引を行うことができます。企業間取引においては金額が大きいことも多く、取引の都度、現金でやり取りすることは非効率です。そこで後払いの取引を行うにあたり相手に信用を与える「与信」が重要になります。与信を使った身近な取引例として、クレジットカードを使った取引が挙げられます。
与信管理
与信管理とは、代金未回収リスクや、反社会的勢力と関与するリスクなど、取引を行う際のリスクを管理していくことです。与信管理は取引段階によって様々な段階に分けられます。新規に取引を行う場合、取引先の情報を収集し分析する「与信調査・与信審査」の段階。与信調査で収集した情報をもとに取引可否の判断を行い、いくらまでの取引なら可能かである「与信限度額」を決定する段階。取引が開始した後、取引先の動向や信用状態に変化がないか、正常に支払いがされているかを調査・管理する段階。万が一未回収が発生した際、損失を最小に抑えるために債権回収を行う段階などが挙げられます。
与信管理規程
与信管理規程とは、社内で定める与信管理のルールであり、取引を開始する際にどのような与信調査を行い、どのような与信審査を行うかを記載したものです。あくまで会社内のルールであるため厳密な記載事項や決まりごとはありません。一般的には与信管理に関する全体感や、取引段階ごとにおける与信管理を行う部署の記載、代金が未回収となった場合の対応方法や対応部署などを記載します。
与信限度額
与信限度額とは、取引先ごとに決められた取引上限金額のことです。与信調査を行った取引先に対し、社内の格付けに基づき与信審査を行い与信限度額を決めていきます。リスクが高い取引先について取引を行わないという判断ではなく、未回収となった場合でも回収が可能な金額、会社に大きな打撃を与えない金額まで取引の範囲を拡大することで、売上の最大化を実現することができます。
与信審査
与信審査とは、取引先の情報収集や情報分析の後、与信限度額や取引の安全性を審査し判断していくことです。与信審査を行うにあたり、あらかじめ社内格付けを決めておくとスムーズな審査が可能です。
与信調査
与信調査とは、取引先の定量情報や定性情報を収集し、安全に取引を行うことができるか調査していくことです。信用調査とも呼ばれています。
ら行
累積赤字
累積赤字とは、複数期にわたって積みあがった赤字のことです。通常、赤字が発生すると資本準備金や利益準備金など企業が手元に持っている資本から補填していきますが、赤字が続き補填しきれない場合累積赤字となります。累積赤字が続き、負債が資産を超えた場合には、債務超過となります。
連鎖倒産
連鎖倒産とは、主要な仕入れ先や卸先が倒産することで自社も倒産してしまうことです。売り上げを1社に大きく依存している会社などに多く見受けられます。与信管理においては販売先だけでなく、仕入先への依存度も把握し、依存度が高い場合は仕入れ先の状況も把握しておく必要があります。
わ行
ワンイヤールール
ワンイヤールールとは、流動資産・流動負債か固定資産・固定負債かを決定するときに用いられるルールで、1年以内に現金化ができるかによって決められています。1年以内に現金化できる場合「流動」、1年以内に現金化できない場合「固定」となります。